2012年01月

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栃木県西部にある南小来川は 足尾山地にある山間の集落です。 山から流れる清流黒川の水は透明度が高く、 川の流れが浸食した岩肌が ダイナミックな渓谷美を見せてくれます。 上の写真は夏に訪れたときのものですが 12月にこのあたりを訪ねたときには 山々は雪をまとい、夏とは様相が一変していました。 この地域ではかつて林業が盛んでした。 大正期には電柱用の木材として山に植林した杉の木が重用され 伐ってはまた植える、という循環が成り立っていました。 しかし、電柱はコンクリート製にとって変わりました。 さらに、安い輸入木材の台頭などによって国産材の需要は減り 高齢化や山仕事の後継者不足によって 山は、間伐や下草刈りなどの手入れすらされなくなっていきました。 荒れた山は下流に洪水を引き起こしたり、里の獣害の温床になっています。 時代は移り変わっていきましたが 古来から山とともに暮らしてきた人々は かつて山の神様を厚く信仰していました。 様々な伝説には、そうした生活や 信仰の記憶が刻み込まれています。 1e56e9f3.jpg
日光へも近く、山岳信仰が盛んだったこの地域の人々にとって もうひとつ、忘れてならないものがあります。 それは、日光山を開山した勝道上人です。 この地には、勝道上人が訪れ、修行を送ったと伝わっています。 そして、その痕跡は今でもこの地の地名に残されています。 この放送では、小来川地域に残る 山や勝道上人にまつわる言い伝えを 語り部の方にお話して頂きました。 この記事は2012年1月30日月曜日に放送終了しましたが、 栃木県のホームページでお聴きいただくことができます。 認定地名、日光市 南小来川のページはこちら。 ラジオのアイコンがありますのでクリックしてお聴きください。 番組では、皆様からの感想をお待ちしております。 おハガキの場合は〒320-8601 栃木放送「とちぎのふるさと田園風景百選」宛 FAXは028-643-3311 メールはdenen@crt-radio.co.jpまでどうぞ! 「とちぎのふるさと田園風景百選」は栃木県のホームページでもご覧頂け

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つぼみをふくらませ、咲く時を待つ輪菊のつぼみ。 12月下旬、芳賀町 下高根沢にある菊の生産農家、黒崎哲雄さんのハウスでは お正月に向けた輪菊の出荷が最盛期を迎えていました。 もともとお祝いの花としても重用されてきた菊ですが、 最近ではお葬式や仏壇の飾り花として用いられることが多くなり、 需要の多いシーズンはお盆とお彼岸、そしてお正月が中心です。 しかし、最近は仏壇や床の間のある家が少なくなりました。 菊の花を飾る生活習慣がなくなるとともに、需要も徐々に減っているそうです。 そのうえ、中国やベトナム、シンガポールなどからの安い輸入品が押し寄せ 日本の菊農家にとっては競争が厳しい状況です。 昭和50年に菊づくりを初めて以来、35年。 黒崎さんは一貫して品質のよい菊づくりに力を注いできました。 それは、厳しい状況になりつつある現在でも変わることはありません。 黒崎さんはこの土地を「先祖から預かったもの」だと言います。 他の取材先でもそうでしたが、農業を営んでいる方の多くは、 「自分の土地」とは言いません。 農地は、投機的な目的として所有する土地ではない。 それが、農業が国の根幹を成すことの核心のように思います。 そしてさらにこう言いました。 「百姓をやっててよかった。」 土と正面から向き合ってきた人だからこそ言える、力強い言葉です。 黒崎哲雄さんには跡取りとなる三男の俊徳さんがいます。 中学生の頃から家業の手伝いをしてきた俊徳さんは、農業大学校を卒業後、 他県の菊農家での研修を経て、哲雄さんと一緒に栽培に取り組んでいます。 研修を経て、自分なりに将来を思い描く俊徳さんは、父親の哲雄さんと 考え方の違いをぶつけ合うこともしばしばとのこと。 でも、この土地で農業を引き継いでいこうと思う気概は 親子ともに変わりはありません。 取材の最後に父親の哲雄さんは言いました。 「あとは、せがれが自分で決めて動いてもらえば、悔いも残らないだろうから。」 土と生きる。 そのリレーは、単に『自分のため』であることを越え 遥か昔からずっと続く、人間の営みを映し出すかのようです。 残念ながら、この取材からわずか11日後の2012年1月3日 お父様の哲雄さんは、急逝されました。 哲雄さんの「土と生きる」志は、俊徳さんに受け継がれ きっと、力強く花開くことと思います。 哲雄さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。 (写真下は俊徳さん) 53ba7739.jpg
この記事は2012年1月25日 水曜日に放送終了しましたが、 栃木県のホームページでお聴きいただくことができます。 認定地名、芳賀町下高根沢町のページはこちら。 ラジオのアイコンがありますのでクリックしてお聴きください。 番組では、皆様からの感想をお待ちしております。 おハガキの場合は〒320-8601 栃木放送「とちぎのふるさと田園風景百選」宛 FAXは028-643-3311 メールはdenen@crt-radio.co.jpまでどうぞ! 「とちぎのふるさと田園風景百選」は栃木県のホームページでもご覧頂けます。

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道のべの 清水流るる柳かげ しばしとてこそ 立ち止まりつれ 漂白の詩人、西行法師がここ、芦野を訪れた時に 詠んだ歌と伝えられています。 また、後年(室町時代後期)には、観世信光によって この歌を主題にした謡曲、「遊行柳(ゆぎょうやなぎ)」が作られています。 ちなみに、番組では宝生流能楽師の安久都 和夫(あくつ・かずお)さんに 謡曲「遊行柳」を謡っていただきました。 上の写真に写る柳は、代々植え継がれて来た遊行柳の子孫です。 温泉(ゆぜん)神社(下の写真)の参道脇にあります。 30e2b55d.jpg
このように、歌枕として知られる県北の地、芦野は 江戸時代宿場町として賑わいました。 宿場町となる以前からも、芦野には多くの俳人や歌人達が訪れています。 冒頭の句にある西行法師以降は、奥の細道を旅した松尾芭蕉が 「遊行柳」を訪れ、その折りにはこの農村風景を目にして 田一枚 植えて立ち去る 柳かな という俳句を残しています。下の写真はその句碑です。 ce6eb904.jpg
芦野はかつて城下町だった時代もあり、宿場町の面影とともに 歴史的な文化遺産や文人達の足跡が今でも残ります。 ここ芦野ではそんな町の文化遺産を町起こしにつなげようと 様々な取り組みを行なっています。 その一つが、年に二回行われる「芦野ふるさと俳句大会」という催しです。 地元の小中学校でも俳句を学び、この大会に投句しています。 実は、この芦野の回では、春に行なわれる田植え祭りと その際に行なわれる俳句大会を当初取材する予定でした。 しかし、3月に起きた震災の影響もあって催しが中止となり、 春の取材はかないませんでした。 今回の取材では田植え祭りは取り上げられませんでしたが、 みなさんぜひ春のお田植え祭りと俳句大会には、 足を運んでみてはいかがでしょうか。 農耕馬が出て、田植え唄も披露されるそうですよ。 この記事は2012年1月23日 月曜日に放送終了しましたが、 栃木県のホームページでお聴きいただくことができます。 認定地名、那須町芦野のページはこちら。 ラジオのアイコンがありますのでクリックしてお聴きください。 番組では、皆様からの感想をお待ちしております。 おハガキの場合は〒320-8601 栃木放送「とちぎのふるさと田園風景百選」宛 FAXは028-643-3311 メールはdenen@crt-radio.co.jpまでどうぞ! 「とちぎのふるさと田園風景百選」は栃木県のホームページでもご覧頂けます。

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小山市の国道50号沿いにある『道の駅思川』から1キロ程北に 下国府塚(しもこうづか)という小さな集落があります。 この界隈に足を踏み入れると、ちょっと昔に戻ったかのような気分になります。 青々とした田んぼを取り囲むように昔ながらの家々が建ち並び、 風情あるたたずまいを見せています。 ae169918.jpg
集落の中心部にある大きな長屋門の家は、 この地区で代々名主を務めてきた岸家です。 岸家では、今でも昔ながらの住まいに暮らしながら、 一族に伝わる様々な年中行事を守り続けています。 二回目に伺った時には、折しも離れの部屋をお掃除する日で いつもは雨戸を閉めているこの部屋を見ることができました。 板戸にはすばらしい墨絵が描かれていて、目を見張ります。 数多くの客人が訪れたという岸家です。彼らはきっと この部屋で時を過ごしたことでしょう。 b3f626c2.jpg
集落をさらに歩くと、国府神社(こうじんじゃ)の大きなケヤキの木が 目に飛び込んできます。樹齢およそ四百年、見事な樹影です。 この日はまだ残暑厳しい9月。 木の下には、涼を求めて地区のお年寄り達が集まっていました。 16a155bb.jpg
秋虫の声を求めて夕暮れに再び訪ねると、 月あかりに照らされた集落はますます美しく 照らし出されていました。 この記事の内容は2011年9月26日に放送終了しましたが、 栃木県のホームページでお聴きいただくことができます。 認定地 小山市下国府塚をお探しいただくと、 ラジオのアイコンがありますのでクリックしてお聴きください。 番組では、皆様からの感想をお待ちしております。 おハガキの場合は〒320-8601 栃木放送「とちぎのふるさと田園風景百選」宛 FAXは028-643-3311 メールはdenen@crt-radio.co.jpまでどうぞ!

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着物好きの方なら、結城紬はご存知のことと思います。 しかし、茨城県結城市だけでなく、栃木県でも織られていることは 意外と知られていないようです。 下野市 仁良川は結城へと続く街道が通る集落で、 結城まで車でおよそ15分程という場所にあります。 ここ、仁良川では戦後あたりまで結城紬が盛んに織られていました。 細かい絣模様が織れれば高額で売れたことから 農閑期に女性達はこぞって織っていたといいます。 ユネスコ無形文化遺産に指定されている結城紬ですが 現在、高齢化によって織り手は徐々に減少しています。 仁良川ではかつて50軒の織り手がいたそうですが、 今では2軒を残すのみとなりました。 その数少ない織り手の一人が 今年83歳の坂本なおさんです。(写真上下) 0897cde2.jpg
若い頃から織り手として、たくさんの結城紬を織ってきた坂本さんですが いくつになっても、満足のいくものができた試しがないと言います。 でも、問屋さん曰く、坂本さんはとても厳しい結城紬の検査に 合格し続けているだけでなく、品質的にも触ったときの 感触の良さは、年齢を全然感じさせないと話します。 私たちは、坂本さんの頭の回転の早さと、はつらつとした話しぶり、 そしてなにより、そのお人柄を表すかのような織りの美しさに 心打たれたのでした。 (下の写真は『かせ上げ』の作業です) d86358a6.jpg
この記事の内容は2011年9月17日に放送終了しましたが、 栃木県のホームページでお聴きいただくことができます。 認定地 下野市仁良川をお探しいただくと、 ラジオのアイコンがありますのでクリックしてお聴きください。 番組では、皆様からの感想をお待ちしております。 おハガキの場合は〒320-8601 栃木放送「とちぎのふるさと田園風景百選」宛 FAXは028-643-3311 メールはdenen@crt-radio.co.jpまでどうぞ!

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